食堂じきどう

食堂じきどうは僧侶が斎食さいじき(定められた時間にとる僧侶の食事)をするための建物で、約300人が一堂に会する規模であったことが発掘調査により判明しました。 『薬師寺縁起』によると食堂の規模は東大寺、大安寺に次ぐ大きさとされています。創建当初の建物は天平2年(730)頃に建てられたとみられますが、天禄4年(973)に焼失し、その後、寛弘2年(1005)に再建されるものの 再び失われました。平成29年(2017)に三度目の再建がなされました。建物外観は奈良時代の意匠を凝らした作りとし、内部は現代技術を活用することで広い空間を確保しました。堂内には文化功労者である田渕俊夫画伯により描かれた食堂ご本尊「阿弥陀三尊浄土図」を中心に、 14面全長50mにわたる壁画「仏教伝来の道と薬師寺」が祀られています。また、堂内天井の雲の模様は、文化功労者である伊東豊雄氏のデザインによるものです。

阿弥陀三尊浄土図 田渕俊夫 筆 平成29年安置

『薬師寺縁起』によれば、食堂の本尊は金銅製半丈六の阿弥陀三尊像でした。この度の食堂再建に際して、6m四方の本尊「阿弥陀三尊浄土図」が文化功労者である田渕俊夫画伯により奉納されました。

仏教伝来の道と薬師寺

薬師寺は玄奘三蔵の伝えた教えを受け継ぐ寺です。玄奘三蔵が中国に伝えた教えは遣唐使船に乗って命がけの旅をした入唐僧たちによって日本に伝えられ、飛鳥京から藤原京、平城京へとうつり、仏教文化の花を咲かせました。 その旅路を食堂内に14面全長50mにわたる壁画「仏教伝来の道と薬師寺」として描かれ、田渕俊夫画伯により奉納されました。