令和5癸卯みずのとう年 明けましておめでとうございます。
 元号と年号そして十干と十二支を組み合わせたものです。最初に付けられた元号は大化(645)で、令和は248番目の元号です。
 十干は甲乙丙丁戊己庚辛壬癸の10種類で、十二支は子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥の12種類です。十干十二支を組み合わせたものを干支「かんし」又は「えと」といって60年ごとに繰り返されます。最近は元号や干支表記ではなく、西暦年号を使用することが多くなってきましたが、元号年号干支表記が、日本の歴史を正しく伝える基本となっています。
 今日の日本では、年賀状の図案に干支の動物を使用する事から、生まれ年の干支によって「○○年生まれ」というように年齢を表記することくらいしか使われていません。

 昔々のお話です。年の暮れに神様は動物たちを集めてお話をされました。お正月の朝、御殿に早く到着した順で12番までをその年の代表にするとお触れを出しました。動物たちは、自分こそ1番乗りだと大騒ぎです。
 猫はあまりにもはしゃぎ過ぎて、神様の処に挨拶に行く日を忘れてしまいました。そこで猫は鼠に尋ねるのですが、鼠はわざと一日遅らせて二日と答えました。
 牛は歩く事が遅い事を分かっていたので、前の晩から支度をはじめ出掛けました。それを知った鼠は、牛の背中にこっそり飛び乗って、すやすやと眠りながら御殿に向かいました。
 一日の朝になって御殿の門が開きました。すると牛の背中で寝ていた鼠は、門が開く音で目を覚まし、背中から飛び降りて1番乗りを果たしました。1番の筈である牛は、ゆっくり立ち上がったので2番になってしまいました。
 走ることが速い虎ですが、前の晩から門の前で待っていた鼠や牛にはかないません。兎も足の速さが自慢ですが、油断をして1番にはなれませんでした。
 龍は雲に乗って、蛇は地を這って御殿を目指しました。
 馬や羊、狐や狸、鹿や狼、栗鼠や鼬、鶴や亀も御殿を目指しましたが、お互いにぶつかったり転んだりして遅れてしまいました。馬と羊はどうにか間に合いました。
 犬と猿も御殿を目指しましたが途中で喧嘩が始まり、鶏が間に入って仲裁しました。
 猪は勢い余って御殿の前を通り過ぎてしまい、慌てて戻り最後の12番目に到着しました。
 猫は鼠に騙されて十二支に入れず、その恨みが鼠を追い掛ける原因となったそうです。

合 掌



「加藤朝胤管主の千文字説法」の感想をお手紙かFAXでお寄せください。
〒630-8563
奈良市西ノ京町457 FAX 0742-33-6004  薬師寺広報室 宛