菩 薩
管主 加藤朝胤
第99回 令和4年5月23日
画像:聖観世音菩薩像(薬師寺東院堂)
菩薩とは、インドのサンスクリット語でBodhisattva(ボーディサトバ)を音訳して菩提薩埵
となり、それを更に縮めて菩薩となりました。お釈迦様の教えを正しく実践する人のことであり、日々忘れることなく心に念じて慶びを感謝の心で有り難く頂く事の出来る人を菩薩と言います。
「観世音」「日光」「月光」「文殊」等は、鈴木さんとか田中さんとかと同じような苗字に当たる名前です。菩薩は一般名詞で、経典には覚有情、大心衆生、大士、高士、闘士とも翻訳されています。意味は悟りの成就を欲する人、悟りの完成に努力する人、悟りを求めて修行する人、佛になろうと志す人、等その状況に合わせて多くの解釈が込められています。佛陀となるべく道心を起こして修行する求道者であり、佛の智慧を得る為に修行している人であり、自ら佛道を求め全ての生きとし生けるものを救済し悟らせる人です。「上求菩提 下化衆生」といい上に向かっては菩提を求め、下に向かっては衆生を教化しようとする人、自利の行をして悟りを求め、利他の行をして衆生を利益する人、発心して佛道を行ずる人、是こそ菩薩行です。
目的を達成するには、どうすればいいのでしょうか。それは般若心経に説かれている波羅蜜の実践です。波羅蜜は6項目に分けて説かれていて六波羅蜜とか六度とも言い、深い深い佛の実践方法が説かれています。
①布施波羅蜜(Dāna ダーナ 檀那)分け与えることです。布施には三種類あり、法施(お釈迦様の教えを伝える)、財施(感謝の誠を捧げる 喜捨を行なう)、無畏施(恐れを取り除く)です。
②持戒波羅蜜(Śīla シーラ 尸羅)戒律を守ることで、基本的な五戒です。殺生、偸盗、邪淫、妄語、飲酒、決して犯してはならない基本的な実践です。
③忍辱波羅蜜(Kṣānti クシャーンティ 羼提)耐え忍ぶことです。
④精進波羅蜜(Vīrya ヴィーリヤ 毘梨耶)努力することです。自ら出来る正しい行いを続ける事です。決して背伸びをしてはいけません。
⑤禅定波羅蜜 (Dhyāna ディヤーナ 禅那)心を集中して、散乱する心を安定させる事です。
⑥智慧波羅蜜 (Prajñā プラジュニャー 般若)
般若の智慧は佛教の悟りの本質です。「自利利他」を完成するもので、「佛母」とよばれています。
「聞 思 修」とは、聞慧・思慧・修慧の三慧の事で、まず聞き、次に考え、さらに実際に修行する事により本当の智慧が完成すると教えられています。
聞くこと(聞)が修行の要で、よく考え(思)実践してみれば(修)必ず疑問が出てきます。だから更に聞いて、考えて、実践してみます。すると更に疑問が湧いてくるので、疑問点を更に深く追求していくこの繰り返しが修行です。
一度是非実践してみて下さい。
合 掌
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