昔、ある方に「手の平を見せるのではなく、手の甲を見てもらう人間になりなさい。」と聞きました。その時は何の事やらさっぱり理解できずにいました。記憶に残る事も無く全く忘れていたのですが、50年以上前に聞いたその言葉が最近突然思い出されました。
心の奥底に記憶として残されていたのだと思い、認識を新たに致しました。その言葉が
その時の様子を思い出し考えてみると、人から物を頂く時は、「ください」と言って手の平を差し出します。人に物を差し上げる時は、手の平に包んで「どうぞ」とお渡しします。
手の平を差し出すのではなく手の甲を見てもらう、という事が今になってやっと理解出来ました。
私たち僧侶は、普段周りの人から色々な物を貰い慣れていて、有難味、感謝の気持ちを忘れてしまう事が度々あります。ですから「くれくれ坊主にやりともない」という揶揄した言葉も生まれてきます。
お供え物は、我々僧侶に頂くのではなく、佛様にお供えされた物であって、その「おさがり」を頂きます。その基本的な事を間違えてしまっているのが現実です。
正しい行いの実践方法をお釈迦様は教えて下さっています。
般若心経の波羅蜜とは、六波羅蜜の実践です。
最近は、金品の授受のみならず、見返りや便宜供与が当たり前のようになり、贈収賄の犯罪行為が絶えません。人は物を頂く時はもらって当たり前。差し上げる時は出し惜しみする身勝手さです。謙虚さと感謝の心をいつも抱いて、高慢や
布施の実践方法は『
合 掌
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