薬師悔過法要の期間中、金堂内陣の閼伽井あかい(井戸)から汲んだ水を、御香水おこうずいとして薬師三尊様にお供えします。薬師寺の金堂内陣の井戸は、創建より掘られていると伝えられていて、薬師三尊様にお供えする為の閼伽井です。とても清らかな水が枯れることなく湧いています。
 閼伽あかとは佛前などに供養される水のことで、アルガ(Ⓢ argha)の音写であり、「功徳水」と訳されています。
 インドでは、古くから修行者の足に注ぐための水と、食事の後、口をすすぐための水を準備しました。その習慣がそのまま佛教にも取り入れられて、佛様や修行者に供養されるようになりました。
 日本に於いては、古来より各家の当主が、新年のまだ誰にも会っていない早朝、井戸から水を汲み神様にお供えする「若水わかみず」の慣わしがあります。はじまりは、立春の日に宮中で行われた水取もひとり(「もひ」は古語で飲み水を盛る器(椀・碗)の事でしたが、後に飲料水そのものを表すようになり、天皇陛下に献ずる初水の事)の行事と伝えられています。
 若水には邪気を除く威力があり、神様に供えた後、その水で供物を作り、家族の口を濯いで清め、茶を立て食事を作りました。

 令和七年度 薬師寺修二会花会式は、3月25日から31日までの一・七日間厳修されます。前日の今日は準備の最中で、愈々明日から始まります。午後7時から勤められる「初夜」の行。午後8時半から勤められる「半夜」の行。午前3時の「後夜」。午前4時の「晨朝」。午後1時の「日中」。午後2時の「日没」の行と一日に六度勤めるので、六時の行法とも言われています。初夜と半夜の間に勤められる大導師作法の折、御参拝の皆様に「御香水配りの儀」が行われ、竹柄杓たけひしゃくから数滴ずつ御香水が授けられます。
 水は、万物における命の根源です。清浄さや潤いを通して、心の浄化と共に自然の恵みに対し感謝と尊敬を表すもので、大切なお供え物とされています。様々な行事や永年の習慣が習合して、薬師寺修二会花会式の行法中にも「御香水配りの儀」が千年を超える作法として伝えられています。

合 掌



「加藤朝胤管主の千文字説法」の感想をお手紙かFAXでお寄せください。
〒630-8563
奈良市西ノ京町457 FAX 0742-33-6004  薬師寺広報室 宛