お釈迦様の誕生と受楽
管主 加藤朝胤
第242回 令和7年3月17日
画像:アショーカ(無憂樹)の花
ヒマラヤ山の南の麓を流れるローヒニー河の畔に、釈迦族の都カピラがありました。
その王であるシュッドダーナ(浄飯王)は純正な血統を伝え、城を築き善政をしき、民衆は喜び王を慕っていました。お釈迦様(ゴータマ シッダールタ・喬多摩(最勝)悉達多(成就))は、今から2500年前の西暦紀元前565年4月8日釈迦族の皇太子としてお生まれになりました。父の名前は浄飯王。母の名前は摩耶夫人。同じ釈迦族の一族であるコーリヤ族で、デーヴァダハ城の姫で、浄飯王の従妹でもありました。
お産をする場合は故郷に帰ることが釈迦族の習慣で、妃は生家に帰る途中ルンビニー園に休息されました。春の日は麗らかに輝き、アショーカ(無憂樹)の花は麗しく咲き誇っていました。妃は右手を挙げて一枝手折ろうとしたその刹那(瞬間)に王子が生まれました。天地は喜びの声を挙げて母と子を寿ぎました。
釈迦八相は、お釈迦様80年の生涯に於ける八つの重要な事柄を現したものです。摩耶夫人は、ある夜夢をご覧になりました。その夢は、白象が右脇から入る夢で、この世で最も尊い王の懐妊です。「入胎」又は「托胎」と呼び、光明を放ち、大地が振動し、悪魔は姿を隠し、天は五瑞を示しました。かたよりを持って全てに接することなく、多くの人々を迷いから救うという誓願です。六牙の白象とは、白は菩薩の行いで清浄なる様であり、象は力強く従順であることから、菩薩の勇猛さと柔和さを現し、六牙は、菩薩の実践修行の姿である①布施 ②持戒 ③忍辱 ④精進 ⑤禅定 ⑥智慧の六波羅蜜を表し、又は、六神通である①神足通 ②天眼通 ③天耳通 ④他心通 ⑤宿命通 ⑥漏尽通を表します。
誕生と同時に七歩歩まれました。これは、六道である①地獄 ②餓鬼 ③畜生 ④修羅 ⑤人間 ⑥天人を超える事です。更に誕生偈である「天上天下 唯我独尊 三界皆苦 我當安之」(『長阿含経』)とお唱えになりました。意味は「果てしなく広い宇宙に存在する全てのものは、みな比類のない『ほとけのいのち』を備えているから尊いのです」という意味です。
薬師東京別院では毎月12日、薬師縁日法要を厳修しています。午後1時から大般若経転読法要に続き、「佛教の世界観」をテーマに法話をしています。どなたでも自由にご参拝頂いていますが、4月はお釈迦様の誕生に因んで、東京別院の玄関からお写経道場に掛けて200鉢の鉢植えを並べてお花畑を再現します。法要と法話の後、ご参拝頂いた皆様に一鉢ずつお持ち帰りを頂こうと計画しています。初めての方もお誘い頂き、皆様とお釈迦様のお誕生を寿ぎたいと思います。薬師寺東京別院はJR山手線五反田駅から徒歩8分程度で、池田山の閑静な住宅地の一角にあります。大勢のご参拝をお待ち致しております。
薬師寺東京別院:品川区東五反田5-15-17 ℡03-3443-1620
合 掌
「加藤朝胤管主の千文字説法」の感想をお手紙かFAXでお寄せください。
〒630-8563
奈良市西ノ京町457 FAX 0742-33-6004 薬師寺広報室 宛