お釈迦様の在世中、インドに栄えたコーサラ国の波斯匿王はしのくおうは怠け者の王様でした。仕事は全て大臣に任せて何もしませんでした。贅沢なご馳走を食べ、遊び廻ったり寝てばかりいました。そんな生活をしているので、王様は、でぶでぶと太り出しました。

 歩くのも大儀だし、動けば息が切れるし、寝ていても苦しい。王様はお釈迦様を訪ねて、訳を教えてもらいました。「人が太るのは、五つの訳がある。一つは、食べすぎること。二つは、寝すぎること。三つは、遊びすぎること。四つは、何も考えずにぼんやりしていること。五つは、仕事をしないこと。痩せたかったら、腹八分目に食べる量も減らし、わき目も振らず仕事に励むことです。」と優しく教えてくださいました。

 怠け者の王様は、真面目な王様になり、お釈迦様の教え通り食べる量を減らし、仕事に励みました。するといつの間にか身も心も整い、生きていることが楽しくなりました。お釈迦が親切に教えてくださった通り実践したお陰で、痩せる事が出来たので、早速お礼に伺いました。
 「人間の本当の幸せは目先の欲望に溺れることなく、身体を労わって心を磨く事だとやっとわかりました。」
 「よく気が付きましたね。心を磨くとは、私の教えをよく聞いて、正しい心で国を治め、国民を幸せにすることです。」とお釈迦様は、お話しになりました。
 波斯匿王は目を輝かせてお釈迦様に手を合わせました。 『法句譬喩経第三』