お釈迦様と教えと教団に
生き物の命を取らず、盗みを成さず、邪な愛欲を犯さず、偽りを言わず、酒を飲みません。この5つを守る事が信者である戒の基本です。
お釈迦様の智慧を信ずる事が信者の信であり、貪りをなくし、物惜しみする心を離れて常に他人への施しを好む事が信者の布施です。更に因と縁との真理を知り、全てが移り変わる道理を知ることが信者の智慧です。
東に傾いている木は、いつ倒れても必ず東に倒れるように、日頃からお釈迦様の教えに耳を傾けている信心の厚い人は、いつどのように命が終わっても、お釈迦様の国に生まれる事に定まっています。
お釈迦様とは、悟りを開いて人々を恵み救う人を言います。教えとは、そのお釈迦様の説かれた教えを言います。教団とは、その教えによって正しく修行する和合の団体を言います。だから、教えと教団を信ずることは、そのままお釈迦様を信ずることであり、自ずから教えと教団を信ずることになります。
お釈迦様は、全ての人々を自分の独り子のように愛してくださるから、人もまた子が母を慕う様にお釈迦様を念ずれば出逢うことができ、救いが得られます。
もしただ一度だけでも、お釈迦様の名を聞いて信じ喜ぶならば、この上ない大きなご利益を得ることができます。
まことにお釈迦様に会う事は難く、その教えを説く人に会うことも難く、その教えを信ずることは更に得難いことです。
信こそは、人の善き伴侶であり、この世の旅路の糧であり、この上ない富です。
信は、人の心を豊かにし、貪りの思いを無くし、奢る心を取り去って、へりくだり敬うことを教えて下さいます。こうして智慧は輝き、困難に破れず、捉われず、誘惑に負けない強い力が与えられます。
信は、火であって、人々の心の汚れを焼き清め、佛教の道に進もうとする人々を燃えたたせます。
信は、道が長く退屈な時に励ましとなり、悟りに導きます。
信は、身も心も柔らかにし、人々によく親しみ馴染む徳を与えてくれます。
信は、他人の善い事を見ると我が事のように喜んで、その人の為に功徳を願う心を起こしてくれます。
この信ずる心は、誠の心であり、深い心であり、お釈迦様の国に導かれることを喜ぶ心です。
『パーリ相応部経典 増支部経典』
合 掌
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