お釈迦様の在世中、愛弟子まなでしは1,500人から2,000人おられたと伝えられています。その中でも特に代表的なお弟子様を十大弟子と呼んでいます。

 阿那律あなりつ(Ⓢアニルッダ Ⓟアヌルッダ)は、釈迦族の出身で、お釈迦様の従弟です。天眼てんげん第一といわれていました。
 お釈迦様の説法の座で居眠りし、おとがめを受けました。以来、阿那律は眠ることなく日常を過ごした結果、失明してしまいました。そのことが『増一阿含経』に説かれています。

 ある時、お釈迦様が祇園精舎で大勢の人に説法をしておられると、阿那律が不覚にも居眠りをしてしまいした。それをご覧になったお釈迦様は、「あなたは道を求めて出家したのではありませんか。それなのに説法中、居眠りをするとは出家の決意はどうなったのですか」と尋ねられます。阿那律は、お釈迦様の前に両手を突いて、深く懴悔さんげします。その日から阿那律は、不眠不臥の修行をしました。お釈迦様は、苦行を止めるよう優しく諭しましたが、益々修行に励み、決して眠ることはありませんでした。それがもとでついに失明してしまいます。この時阿那律は、心の眼がぱっと開けたとされています。真の悟りを智慧と言い、その智慧を「天眼」と言います。阿那律は視力を失いましたが、肉眼では見えないものを見通す「天眼」を得る事が出来ました。そして失明した後も一身に修行に専心して「天眼第一」といわれるようになり、お釈迦様の深い信頼を得るようになりました。
 ある時、衣のほころびを修理しようと針に糸を通そうとしますが、目が見えないので、なかなか通らなくて困っていました。すると「私にさせて下さい」と声が聞こえました。その声はお釈迦様でした。針に糸を通してもらった阿那律は勿体なさに驚いて、お釈迦様の慈悲の心にとても感謝しました。

合 掌



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