紀元前6世紀、釈迦国のゴータマ・シッダールタ王子はこの聖なる場所(現在のブッダガヤ 大菩提寺)でお悟りを開き、大覚者(お釈迦様)となりました。偉大なお釈迦様の為に、紀元前3世紀アショカ王は赤砂岩で座を作り、ここでお悟りが開かれたことを示す金剛宝座を祀りました。そして、お釈迦様への念をこめて塔を建てました。この塔は2世紀まで建っていましたが、色々な事情で後世に伝えられませんでした。

 その後ブッダガヤの「成道の地」に現在の建物が建設されたのは、7世紀のグプタ王朝の時代です。後の時代にビルマの援助によって数回の修理が施されています。近年においては、1883年には本格的に科学的な修理がイギリスの考古学者A.カニングハム氏、J.D.M ベグラー氏、インドの考古学者ラジェンドラ・ラル・ミトラ博士の指揮によって実施されました。1956年には2500回目のブッダジャヤンティ(お釈迦様の生誕をお祝いする日)に際し、インド政府が塔の修理をし、大菩提寺と名付けられたお悟りの地も整備されました。「佛陀成道」の地である大菩提寺は、世界の佛教徒の巡礼の場所として最も聖なる場所です。塔の一階に祀られている金色に輝くお釈迦様のお姿は、黒石で作られていて、印相は悟りを開いた瞬間を意味する触地印のお姿です。
 また、大菩提寺は2002年6月27日にユネスコの世界文化遺産に登録されました。

 成道直前「前正覚山」で修行されていたゴータマ・シッダールタ王子は、欲望を無くすための断食等あらゆる苦行を修められました。しかし肉体を虐める苦行は、神聖な智慧を得る正しい修行ではない事を悟り、新たな道を求め山を下りられました。尼連禅河で沐浴し6年間の垢を洗い流し、スジャータから乳粥の供養を受けて体力を回復されたゴータマ・シッダールタ王子は、このピッパラ樹(菩提樹:学名Ficus Religiosa)の木陰にいた草刈りの童子から吉祥草の供養を受け座とされました。今こそ悪魔(煩悩)を降伏すべき時であると瞑想し、12月8日曉の明星の輝きを縁としてお悟りを開かれました。その為菩提樹は、お釈迦様の象徴として尊ばれています。

 現在菩提樹と大塔の間には、縱7フィート6インチ(228.6cm)×横4フィート10インチ(147.32cm)×高さ3フィート(91.44cm)の赤砂岩で出来た金剛宝座と呼ばれる石の宝座があります。金剛宝座は、前述の紀元前3世紀にアショカ王によって作られたもので、インドの僧、馬鳴(めみょう・Ashwaghosa)は『佛所行讃』(ブッダチャリタ)の中でこの金剛宝座を「地球の中心」と示しています。
(インターネットの情報を参考にしています。)

合 掌



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