お釈迦様は12月8日、35歳の時にお悟りを開かれました。そして「私の説く教えは知識ではなく真理です」と述べられました。

 お釈迦様の悟りは、「縁起の法」です。世の存在は全て因縁生起です。
「此れ有れば彼有り、これ生ずるが故に彼生ず。此れ無ければ彼無し、此れ滅するが故に彼滅す」と『法句経ほっくきょう』に登場します。
 「縁起の法」とは、全ての存在は実体としてあるものでなく相互の関わりのなかで生ずるのであって、永年のインド社会における神の奇跡という思想を真っ向から否定し、「原因があって結果が生まれる」という「真理」を発見されました。
 究極的な真理を人に伝えるには言葉によって伝えられます。真理は一つなのですがそれを説く教えは、法を実践して追体験した人の数だけあります。だから「真理は一つ。賢者はそれをさまざまに説く」とあります。相手の立場を考え、正しく理解できるように優しく伝える、当に対機説法です。
 私達の日常生活は、欲望と怒りの渦巻く毎日です。現実を穢土と認識し苦と感じることによって、浄土を感じ善を修めようとする浄心が芽生えてきます。浄土と穢土は異なる世界ではなく同じ一つの佛土です。

 『法句経』はパーリ語で伝えられていて『ダンマパダ』といい、佛教の教えを短い詩節の形で著わされた経典です。「ダンマ」は真理とか法で、「パダ」は言葉という意味で「真理の言葉」です。26章、423詩節に分かれていて、人間社会の深い反省や生活の指針を簡潔な詩節で説かれています。

合 掌



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