JR琵琶湖線守山駅を下車し、駅前から近江鉄道バスの佐川美術館前行バスに乗り約25分、琵琶湖大橋を右手に見ながら湖岸道路を南下、暫く行くと佐川美術館の表示が見えてきました。整然と整備された駐車場の入口にこの暑さの中、制服に身を包んだ係の人が出迎えてくれました。守山駅から行く方法が近いですが、JR湖西線堅田駅からのルートもあります。その場合多少時間は掛かるようですが、琵琶湖大橋を渡るルートです。琵琶湖の東岸と西岸が最も狭くなった地を北湖と南湖と分けています。この境界線辺りに掛けられた琵琶湖大橋は、昭和39年9月に完成しました。橋の中ほどでアーチを描くように26mの高さになっていて、車窓からの眺めは
佐川美術館は、正面ゲートを潜ると眼前に鏡のような
「平和の祈り」と名付けられた平山郁夫館は、昭和20年8月広島に於いて原子爆弾に被爆した体験が切っ掛けとなり、「平和を祈る心」を佛教伝来の道であるシルクロードに重ね合わせ描かれた収蔵作品300点の中から60点余りが展示されています。
平山郁夫画伯は、昭和34年玄奘三蔵法師の求法の旅をテーマにした「佛教伝来」が院展に於いて高い評価を受けて以来、玄奘三蔵が旅をしたシルクロード佛教東漸の道や東西文化の交流をテーマにした佛教画と共に、平和を求める絵画を描く現代日本画を代表する画家です。
「ブロンズの詩」と名付けられた佐藤忠良館は、所蔵作品100点の中から50点が展示されています。洋の東西を越えて人間の飾らない美しさを表現し追求した作品群で、子どもや女性をテーマに常に温かな眼差しで見つめてきた「人間の美」が観賞できます。
「守破離」をコンセプトに水庭地下に開設された樂吉左衞門館は、展示室と水庭に浮かぶように設えられた茶室があり、十五代樂吉左衞門氏の作品と茶の湯空間が一体となって日本の伝統文化を満喫する事ができます。「守破離」とは、千利休の「規矩作法 守りつくして 破るとも 離るるとても 本をわするな」の歌から採ったものです。
このように昭和平成を代表する芸術家により日本の美の探究がなされており、関西を訪れたお客様をおもてなしするに相応しい場所です。市街地に近過ぎる事なくまた遠過ぎる事なく、閑静な佇まいと共に豊富な水を利用した環境は、琵琶湖という自然資源の存在を上手く取り入れた素敵な美術館です。
西洋絵画とは違った日本画の微妙さ、彫像の柔らかさ、土がおりなす火の激しさ等日本に於ける伝統文化の粋を満喫し、日本文化に親しく接して頂けることと確信します。
合 掌
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