『医学は人間の「慰めと癒し」の技術であり、学問である。』と梶田昭著『医学の歴史』の冒頭で語られています。
医学の歴史はきわめて古く、例えば魚類や両生類、爬虫類では考えられませんが、鳥や猿が毛繕いをしている事も「慰めや癒し」の原型に遡る事が出来ると言われています。毛繕いの行為や病気平癒を神佛に祈る行為が医療の兆しに発展したとしたならば、余りにも飛躍しすぎでしょうか。
原初の医学は「小川と里と広場」が要素と言われ、母親が小川の水で病気の子供の頭を冷やしたりする行為は、看護の起源です。やがて知識が集約され、智慧者が生まれました。かつての毛繕いは、いつの間にか整髪や化粧の姿となり、整髪師の仕事となりました。医療の兆しも次第に医者と看護師の仕事として業務となりました。十二世紀頃のヨーロッパでは、理髪師が外科の仕事を兼ねていました。今も理髪店のねじりん棒(サインポール・バーバーポール・
今回の千文字説法は、梶田昭著の『医学の歴史』(講談社学術文庫)を紹介させて頂きました。この著作は、古代から現代までの医学の歴史が綴られていて、医学史の辞書として大切で、内容は面白く、専門家のみならず一般の皆様も理解でき、時にはユーモアを交えて読むことが出来る名文とあり、「人間味溢れる新鮮な医学書」と評されています。推薦の言葉には、「目次を見ていて、この小さな本に医学の歴史が古代から現代まで、東洋を含めてつぶさに書き込まれていることに感嘆した。とにかく面白く、興味深い話題に富んでいる。知識は緻密で豊富である。編集者の要望に十分応えた、医学史の知識が凝縮された教科書の参考書となる本」と絶賛されています。
ご一読をお勧めします。
合 掌
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