「浄瑠璃」は、三味線を伴奏とする語り物の一つで、もとは琵琶伴奏による語り物でした。室町中期に盲目の法師が琵琶をかき鳴らしながら御伽草子に節を付けて語ったのが始まりと言われています。
佛教の影響を受ける演目が多くある中で、特に『浄瑠璃姫物語』は有名で、牛若丸と浄瑠璃姫の恋物語です。あらすじは、三河の
お薬師様は、東方浄瑠璃浄土の教えを説く如来様で、菩薩として修行中に十二の大願を発して、最高の悟りの結果を
成長した浄瑠璃姫は、牛若丸と出逢い恋に落ちるのですが、この恋は成就することなく悲恋に終わってしまいます。この物語を法師が琵琶を弾きながら情を込め、時には
長者さんのお薬師様への祈りは、新たな命を授かる喜びとなりました。喜怒哀楽や欲望の姿は、身近に起る出来事で、琵琶法師が語る事により誰もが共感できる説話として人気を博し、佛教の影響を受けた日常生活の些細な出来事が、信仰心として素直に受け入れられました。琵琶法師が語る平易な佛教の教えが、数少ない庶民の娯楽として受け入れられ、信仰と共に芸能として発展していきました。
この様に変遷を遂げた浄瑠璃ですが、江戸中期に至り非凡の文才である近松門左衛門により従来の作風を一変させ、更に当時語り手の名人であった竹本義太夫と提携してその語り物に劇的な深みが加わり、一大変革を齎すこととなりました。こうして近松門左衛門と竹本義太夫の二人の貢献により、操り人形浄瑠璃の大成となりました。
日本を代表する伝統芸能である人形浄瑠璃文楽は、太夫、三味線、人形が一体となった芸能です。二人の功績以来人形浄瑠璃は、大人気を得て多くの人形浄瑠璃座が出来ました。中でも幕末に淡路島の植村文楽軒が浪花で始めた一座が最も有力で中心的な存在となり「文楽」が人形浄瑠璃の代名詞となりました。
合 掌
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