お写経とは、佛教において経典を書写する事、又は書写された経典の事です。
 お写経は、印刷技術がまだなかった時代に佛法を広めるため、またはひとつの寺院でも複数の僧侶で修行や読経や布教する為に必要なことでありました。
 中国では、六朝時代に定型化され、隋・唐のころに盛んに行われるようになりました。日本に於いて「お写経」という言葉の初見は、天武天皇2年(673)3月17日、天武天皇が写経生を集めて、川原寺で初めて一切経の写経をはじめられたと『日本書紀』にあります。
 壬申の乱に勝利し即位された天武天皇は、凄惨を極めたこの争いにより多くの犠牲者が生まれた事に深く後悔をされたことでしょう。犠牲になった多くの同胞の菩提を弔うと共に新たな国造りに向け国家の繁栄を願われたに違いありません。お写経を始められたのは、即位後直ぐの事でありました。
 そして奈良時代の天平年間は、聖武天皇が佛教を篤実恭敬とくじつくぎょう し、その弘通くづう を図ったため、お写経が一段と盛んになり佛教は空前の隆盛を極めました。お写経の目的は単に経典の流布にあるばかりではなく、成佛、善根、功徳の思想に基づいて書写されるようになり、官立の写経所が設けられ、専門の写経生たちによって国家事業としてのお写経が行われました。
 高田好胤管長さんは、「お経は文字を見るだけでも功徳があり、声に出して読誦すれば大きな功徳が得られます。更に自らの手で一文字一文字お写経すれば、一文字書写する毎に佛像を一体作ることと同じ功徳があると言われています」とお話をされていました。何時も解かりやすく上手にお話をされているなぁと思って聞いていました。ところがある時『妙法蓮華経』を読んでいたら「この経を受持し、読誦し、解説し、書写し、説の如く修行すれば、よく大願を成就す」と書いてありました。高田管長さんは面白おかしくお話になるだけでなく、ちゃんと『妙法蓮華経』お読みになりお釈迦様の教えに基づいてお話をされている事に改めて尊敬の念を抱きました。
 昭和43年、高田管長さんによって始められた薬師寺のお写経勧進は、半世紀を超えて続けられています。大勢の御結縁者の皆様から「お写経」に出会う事が出来たお慶びの言葉を頂いています。
薬師寺のお写経の特徴は、以下のとおりです。

・宗教宗派を問いません
・お写経道場でいつでもお写経ができます
・般若心経 薬師経 唯識三十頌のお写経があります
・筆だけでなく鉛筆でも書写できます
・1度に全部書き上げなくても分けて書写することもできます
・1巻を家族や友人と分けて書写することもできます
・御祈願の内容は自由で、ひとつには限りません
・ご納経して頂くと永代供養いたします
・ご納経3巻目よりご納経集印帳を贈呈します

合 掌



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