今回は「
在家で佛道に帰依する人物が主人公となるお経に『
ある時、お釈迦様は維摩居士が病になっていることを察知して、大勢の弟子や菩薩に「誰かお見舞いに行ってほしい」と頼みます。しかし弟子たちは、維摩居士との問答でやり込められた経験があり誰も行きたがりません。そこで文殊菩薩がお見舞いに伺うことになりました。
文殊菩薩は維摩居士に会うと「あなたはなぜ病になったのですか。どうすれば治癒するのですか」と尋ねます。すると維摩居士は「全ての衆生は思い込みと執着心によって病む。
衆生が病んでいるから私も病むのです。衆生の病が治癒したとき、私の病も癒えるでしょう」と答えました。私たちは物事に執着するから患い、苦しみが増長します。それを教えるために菩薩は、苦しむ衆生を憐れむが故に、菩薩自身が病になる姿を見せると説いたのです。
また『維摩経』が説いた教えに「
文殊菩薩と維摩居士は不二法門についての思索を深めてゆきます。文殊菩薩が「全ての事は言葉も説明も意識する事も、相互関係を離れて超越しています。これを不二法門に入るといいます」と答え、最後に維摩居士に「不二法門に入るにはどうしたらよいですか」と質問しました。
維摩居士は
お釈迦様に帰依して佛教の奧義に達し、全ての人を分け隔てなく導く菩薩行の実践者が「居士」の由来です。
合 掌
「加藤朝胤管主の千文字説法」の感想をお手紙かFAXでお寄せください。
〒630-8563
奈良市西ノ京町457 FAX 0742-33-6004 薬師寺広報室 宛