このお話は、佛道修行の大切さを戒めるお話です。

 昔、インドの雪深い山に鳥が住んでいました。この鳥たちは、雪の山に住み、寒さに苦しむということで「雪山の寒苦鳥」と呼ばれていました。  昼は太陽の光が当たるので、暖かで陽気な一日を過ごすことができました。ところが、夜になると昼とは違って厳しい寒さが鳥たちを襲います。 昼間、楽しく遊びまわっていたことを夜寒くなってから後悔します。雌鳥は「寒くて凍え死んでしまう」と一晩中泣き叫びました。雄鳥は「夜が明けたら、巣を作ろう」と話しかけ、雌鳥を懸命に励ましました。
そんな苦しい思いをしながらも夜が明けて暖かくなると、寒さのことをすっかり忘れてしまい、昼間一日中遊びまわっていました。 鳥たちは、夜は寒さに苦しみ、昼は遊びまわることを繰り返していました。そして、ついに巣を作ることなく一生を終えました。
 私たちも寒苦鳥と変わらぬ人生を過ごしています。死んで地獄に堕ち、鬼に追われ火に焼かれて苦しむ時、次に人間に生まれたら佛道修行に励んで成佛しようと安易な決意をします。でも、生まれ変わって新たな命を頂いた時には、 決心した事をすっかり忘れ、金銀財宝、地位名誉を追い求めて佛道修行を怠って欲望にまみれた生活に溺れてしまいます。たとえ決意して発心しても、長続きしないで忘れてしまい、佛道修行を怠る日々を過ごします。
お釈迦様の正しい教えを学び、日々、新たに発心し、決意して、実践し続けることが真の佛道修行です。

合 掌


※写真は、お釈迦様初転法輪の地・サルナートの「ダメ―ク塔」



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