平成23年6月25日・26日の2日間に亘り「薬師寺国宝東塔大修理着工法要」が厳修されました。
2日間で全国各地より9000人を超えご参拝賜りました。篤く御礼申し上げます。 平成から新たに令和と元号が改元され、国宝東塔も完成が間近です。白鳳の東塔の流麗さを一人でも多くの皆様にご参拝頂ける日を楽しみに致しております。 薬師寺の創建について、『日本書紀』には、「皇后が病気になったので誓願をたて、皇后のために薬師寺を建立した」と記されています。
東塔の相輪部には銘文が記されていて、檫銘は天武天皇即位8年11月12日、天武天皇の皇后である鸕野讃良皇女うののさららのひめみこ(後の持統天皇)の病気平癒を願って薬師寺創建を発願したことが書かれています。 「而るに鋪金未だ遂げたまわずして、」とある鋪金とは、祇園精舎建立の故事に倣って薬師寺の創建を発願したものの、完成を見ずして天武天皇が薨去されたことを「鋪金未遂龍駕騰仙」八文字で表しています。
東塔檫銘は、次のように書かれています。

維清原宮馭宇
天皇即位八年庚辰之歳建子之月以
中宮不悆創此伽藍而鋪金未遂龍駕
騰仙太上天皇奉遵前緒遂成斯業
照先皇之弘誓光後帝之玄功道済郡
生業傳曠劫式於高躅敢勒貞金
銘曰
巍巍蕩蕩薬師如来大発誓願廣
運慈哀猗●聖王仰延冥助爰(●・・獣辺に與)
餝靈宇荘厳御亭亭寶刹
寂寂法城福崇億劫慶溢萬


これ清原宮馭宇天皇あめのしたしろしめししすみらみことの即位八年庚辰かのえたつ之歳建子けんね之月、
中宮の不悆みやまいしたまうを以て、
此伽藍をはじめたまふ。
しかるに鋪金ふきん未だげたまわずして、
龍駕りゅうが騰仙とうせんしたまえり。
太上天皇だじょうてんのう前緒ぜんしょしたがひ奉りて遂にの業を成したまふ。
先皇せんこう弘誓ぐせいを照らし、後帝こうてい玄功げんこうかがやかし、
道は郡生ぐんじょうすくひ、ごう曠劫こうこうつたふ。
高躅こうたくのっとり、あえ貞金ていきんろくす。
銘に曰く
巍巍蕩蕩ぎぎとうとうたり薬師如来、大いに誓願をおこし、廣く慈哀をめぐらしたまふ。
猗●ああ聖王じょうおう仰いでは冥助めいじょふ。 (●・・獣辺に與)
ここ靈宇れいうかざり、調御ちょうぎょ荘厳しょうごんしたまふ。
亭亭ていていたる寶刹ほうさつ寂寂じゃくじゃくたり法城ほうじょう
さきはひ億劫おっこうたかく、よろこび萬齢ばんれいあふれむ。

東塔の最上部に薬師寺建立の由来が記されていて、白鳳時代より1300年の歴史を今に伝えています。  

つづく